絵本：セカイの味
セカイは 大きかった
...そう 大きかった
だけど 気付いたら
...小さくなってた
ウサギさんは言った
「キミが大きくなったんだよ」
カエルさんは言った
「キミが世界を吸収したんだよ」
何が何だか
...分からなくなった
それから しばらくして
ワタシの背は
...伸びなくなった
セカイは前より少しだけ
小さくなった
...気がした
アリさんは言った
「ボクをリンゴの上に乗せてごらん」
「ほら キミから見れば
小さなリンゴも
ボクから見れば
こんなに大きい」
アリさんは言った
「このリンゴを食べてごらん」
酸っぱそうだったリンゴは
一口かじると
思っていたよりずっと
...ずっと甘かった
「ほら キミはこの
小さくて大きいリンゴの
味を知った
そうして 今
セカイの一部を
吸収したんだ」
「子どもでも
背が伸びなくても
セカイは大きい
その証拠に
ほら キミのセカイに聞いてごらん」
ワタシは アリさんに
初めて知った甘い味を
かじって渡した
...小さく、大きく
