イラスト・詩の創作サイト、of Star

lyric

君は月を見ていた

手ぶらで歩く 傾いた体幹を知る
高い空を見上げる 自分の小ささを知る

通り抜ける風がひらりと スカートを泳がせる

色取り取りの花のない日も
生い茂る緑のない時も
鮮やかに染まる葉のない季節も
「君に会えるかもしれないから」
そう言って 君は夜を歩いた

空っぽの手を 傾いた太陽に翳す
伸びた影を見つめる 自分の歪さを知る

通りすがる音がころりと 電線を揺るがせる

心照らす光のない日も
頬濡らす雫のない時も
陰落とすラピュタのない季節も
「君に会えることを楽しみに」
そう言って 君は夜を見ていた

言葉を記し 歩いてきた過程を刻む
その足跡を眺め 自分のつよさを知る
鼓動を打って 懐かしい体温を知る
息を吸っては吐いて 自分のやさしさを知る

通り過ぎた僕がちらりと どこからか覗いてる

色取り取りの花のない日も
生い茂る緑のない時も
鮮やかに染まる葉のない季節も
「君に会えるかもしれないから」
そう言って 君は夜を歩いた
「君に会えることを楽しみに」
そう言って 君は月を見ていた

君の瞳に映る月を僕は見ていた

2018/10/26

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