一つのメルヘン
Concept
中原中也さんの詩『一つのメルヘン』に絵を添えるというものでした。
中原中也さんの詩集を想定した課題だったので、実際は、本のノドにあたる部分(真ん中)に文字が来ないようにしました。
絵はルネ・マグリットを意識して描いてみたり。
以下、読み辛い方のために詩です。
一つのメルヘン
秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があって、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射しているのでありました。
陽といっても、珪石か何かのようで、
非常な個体の粉末のようで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもいるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶が止まり、
淡い、それでいてくっきりとした
影を落としているのでした。
やがてその蝶が見えなくなると、いつのまにか、
今まで流れてもいなかった川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れているのでありました……
SIZE:A5・2p
USE:Photoshop